シアタークリエ ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』

6月28日(金)、都内にてミュージカル『ビッグ・フィッシュ』の合同取材会が執り行われました。当日の取材会に出席した、川平慈英さん、浦井健治さん、霧矢大夢さん、夢咲ねねさん、白井 晃さんが、本当の家族さながらの和気あいあいとしたトークで公演に向けての想いを語ってくださいました!

出演者挨拶

白井この度は『ビッグ・フィッシュ』再演を行うことが決まりまして、本当に嬉しく思っております。思えば2年半前、2017年の2月に、日生劇場でこの作品をやりまして、2月28日に終わった時には「あぁ、この作品とお別れしなければならないのは本当に寂しいな」と思っていました。再演したい、再演したい、と思っておりましたので、本当に、心から嬉しく思っております。
この話はちょっと奇想天外な話ではあるんですけれども、実のところはどこの家族にでもあるような親子の確執や誤解の話でもあって、皆さんにもご自身と重ねて観ていただくことができる、すごく素敵な作品に仕上がっていました。これを今回はクリエで上演させていただくということで、今度は主要メンバー12人だけに絞ったバージョンとなります。雰囲気としては初演のイメージを踏襲して上演していきたいと思っていますが、出演者の皆さんにとっては12人に絞られたことで、むしろ前回よりもハードな作品になるかもしれません。この作品をまた皆さんにお届けできる、ということを大変嬉しく思っております。よろしくお願いいたします。

川平 今日はこんなにたくさんの方に集まっていただき心から感謝します。ありがとうございます。思い起こせば前回は長丁場、「ぼく生きて千穐楽のカーテンコールを迎えられるのかなぁ」って本当に稽古の時から不安でいっぱいだったんですが、なんとかこの素晴らしいチームの絆というか、パワーで乗り越えられました。それは奇跡的なもので、いやぁ本当に嬉しい勲章になりました、光栄です。それがまた再演ということで、しかもメインメンバーが変わらず集まったこの喜び・・・本当に嬉しいです。そして、またしても長丁場(一同笑)結構厳しい星取・スケジュールですね(<白井>「前より長い(笑)」)。一回できたから今回もできるという保証は本当に全くないので、白紙に戻ってこのエドワード・ブルームを創り上げたいな、と思っています。また、今回はスタイルが違うということでワクワクしています!お客様が観終わった後、生きていることの素晴らしさ、大切な人のために献身する、心を燃やす素晴らしさに、ほっこりするような気持ちになっていただければ嬉しいです。この素晴らしいメンバー、是非是非応援してください。どうぞよろしくお願いいたします。

浦井本日はありがとうございます。この再演は、個人的にも「再演できたらなぁ」って思っていた作品で、しかも再演の話を聞いたらすべてのメインキャストが変わらない!皆が大好きな作品なんだなと改めて思いました。一番大変だった慈英さんが誰よりも元気で、白井さんが「休憩だ」って言っているのにサッカーをし始めたり・・・(会場笑)

川平「ボール没収された!(霧矢さんを指して)妻に!」

浦井 没収されてましたね、「休みなさい」って言われてました(笑)でもそのぐらい慈英さんのエネルギーに満ち溢れた作品で、それを支えている妻の霧矢さんと、そして自分たち家族や皆との本当に素敵な家族の物語なんだな、と思いながらやっていました。本番中は慈英さんと楽屋が隣だったんですが「イェーイ!喉たいへーん!クゥ~!(川平のマネをしながら)」って、ずーっと喋っているんですよ!(会場笑)でも観に来てくださった皆さん全員が、「最高だったよ」「いい作品だったよ」って、本当に涙を浮かべてくださるような、そんな作品でした。今回また再演できるというのは本当に幸せだなと思っています。僕も父親との新曲といいますか、1曲デュオが増えますので、心して頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

霧矢 皆様本日はありがとうございます。私もこの『ビッグ・フィッシュ』初演では、千穐楽を終えた時、本っ当に終わるのが寂しくて。そしてずっと『ビッグ・フィッシュ』ロスが続くと言いますか、音楽もずっと頭の中に流れ続けていて、慈英さんにもお会いできなくなって、カンパニーの皆様にもお会いすることがなくなって「あぁ寂しいなぁ・・・」と思っていた矢先に、再演の話を伺いました。もう本当にこんなに嬉しいことはないな、と思っております。そして新しいバージョンで、よりギュッとドラマが濃密になった、感動的な家族のストーリーを皆さんに再びお届けできることを、私自身も本当に楽しみにしていますし、皆さんにも楽しみに待っていていただけたらな、と思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

夢咲 本日はお集まりいただきありがとうございます。私も前回の作品で学んだことがたくさんあって、そして毎回、出演している側なのに、最後は本当に心を打たれて・・・しかもそれが毎回だったんです。この作品って本当に凄いな、といつも思っていて、観にいらしてくださった方々も「本当に観れて良かった」と言ってくださって、すごく愛されている作品なんだなと実感していました。そして今回再演することが決まって、前回観られなかった方々が、「観たかったんだよ~!」って言ってくださるのがすごく嬉しくて。その分大きいプレッシャーもあるんですけど、またこの素敵なブルーム家のご家族と一緒になれるのがすごく楽しみで、一生懸命皆さんについて頑張っていきたいなと思っています!よろしくお願いいたします。

メディアとの質疑応答

(白井さんへ)“12 chairs version”とはどういった意味なのかを改めてお聞きしたいのと、今回劇場がシアタークリエへと変わりますが、演出がどのように変わられるのかをお聞かせください。

白井 この“12 chairs version”というのは、言ってみれば“12 members version”とも言えて、12人でやる別のバージョンということを強調したかった、ということです。向こうでは12脚の椅子をつかってやる、という表記もあったものですから、12 chairs versionという名前にしましたが、意味合い的には12人で全部やるという、その分濃縮されている、という意味合いだと受け取っていただければと思います。空間的には日生劇場からシアタークリエに替わりますが、私自身、12 chairs versionだからといってシンプルな空間に終始しようとは思ってもいません。日生劇場で我々が一緒に創った空間を凄く愛してもおりましたので、基本的にはあの空間をできるだけ凝縮した形で再現したいと思っております。もちろんナンバー等も変わっているところはりますが、演出の仕方としては前回を踏襲してやっていきたいなと思っています。

(川平さんへ)先ほど「再演が決まって嬉しい」とのお言葉を聞かせていただきましたが、再演が決まった瞬間、決定の知らせを受けた時の具体的なお気持ちをお聞かせください。

川平 正直言うと、「またあのキツい日々が来るぞ・・・!」という素直な気持ちはありました(一同笑)。初演は本当に「生き抜けるかな」っていう心理的状態だったので。ただもうひとつ、間違いなく覚えているのが、最後のシーンで何と言ったらいいのか、祝福されているような、すごくポジティブな、川平慈英としてはむしろ“強く生きる力”をいただけたというか・・・ああいう経験は後にも先にもなくて。ふつうエンディングではヘットヘトで、「カーテンコールやっと来たか・・・!」となるのがほとんどなんですけど、最後のあのシーンでは逆に生きる力をもらうことができた。それを思い出すと、また嬉しい瞬間を味わえるんだな、というポジティブな面もあります。なので今回も、大変さとステージ・ハイを同時に味わえたらな、と。そして“生きる喜び”みたいなものをお客様と共有できたらこんなに嬉しいことはないな、と思います。

(川平さん以外の皆さんへ)客席から観ていても川平さんにエドワードがぴったりでしたが、皆さんから見てエドワード、川平さんの魅力やチャーミングだったポイントを教えていただきたいです。

霧矢 本当にエドワードは川平さんしか考えられない、ぴったりすぎて。

川平 怖い・・・(会場笑)

霧矢 演技、してました?

川平 いやいや、してるしてる!(笑)

霧矢 本当にお話上手でいらっしゃいますし、稽古場でも合間合間でずーっとしゃべっていて、しかも楽しいお話なんですよ。気づいたら皆が慈英さんを囲んで「うんうん」って話を聞いていて・・・

浦井 クイズとかもやっていましたよね

川平 僕に「黙れ」っていうのは「死ね」って言ってるのと同じですから!(会場笑)

浦井 僕が印象的だったのは、お母さんの、霧矢さんがずっとそばで夫の川平さんを見ていたんでしょうね、千穐楽の後、打ち上げ会場かどこかで、二人が寄り添って互いを讃えあっていて。僕が遠巻きにそれを本当の息子のような感情で見つめていたんですけど、すごく感慨深かったです。それぐらい息ぴったりな夫婦役だなと思って、切なかったし、いつも見ていて感動をもらっている感じがして。それから1幕ラストのそれはそれは美しい、水仙の花に囲まれた二人のデュエットがあるんですけど・・・いいですよねぇ~(一同笑)

霧矢 (白井へ)また水仙はいっぱい出てきますか?

白井 はい!

一同 おぉ~~!

霧矢 日生劇場の公演中、私と慈英さんもちょっと調子が良くない時期があって、その時は本当に夫婦の支え合い、みたいでした。舞台上で私が危うい部分があっても、慈英さんが「大丈夫、大丈夫」っていう眼差しで見てくれていて、私が回復して慈英さんが危ないときは・・・

川平 (霧矢さんの真似?をして)だぁ~いじょうぶ、大丈夫なんです!(一同笑)

霧矢 (笑)いい意味での夫婦の支え合い、みたいなものが自然に生まれて、本当に終わった時「良かったね~!」っていう感じでしたね。また支え合いながら、よろしくお願いいたします。

夢咲 私も感じるのは、やっぱりそのままなんです、エドワードさんなのか慈英さんなのか分からないぐらいその場に自然にいらっしゃって。だから不思議と、私の役も違う血筋から来るんですけど、自然にブルーム家へ入り込めるというか。とてもハートフルで、パワフルで、エネルギッシュで、でも繊細でナイーブなところもあって。本当に皆さんが愛さずにはいられない方だな、と思っています。(川平がうつむいていて)あれ・・・違いました?

川平 間違いない、素晴らしい(会場笑)

白井 僕は慈英さんとは色々な面でご一緒してきて旧い仲なんですけど、慈英さん・・・慈英からたくさん面白い話を聞いていて、どこまでが本当でどこまでが嘘なのか分からない話もあったんですね(笑)。だからエドワードがほら話を話すときは、本人のチャーミングさそのままを感じるぐらいでした。もちろんエドワードは慈英ではないんですが、慈英は楽しんで演じてくれていて。楽しんでやっていただけに「エドワードそのまんまじゃないか」って見えたんじゃないかと。
そして、僕は本当に自分で演出させていただいておきながら、毎回最後のシーンで泣きそうになるっていうのはなんなんだ、何回この歌を聴いているんだろう、って思うんですね。最後皆がエドワードを囲むシーンでは、演出者である自分が涙ぐむ、それも毎回毎回そうなってしまうのは本当におかしいんじゃないか、と思うぐらいの感動を得ていました。
これは、慈英さんは言えば嫌がるかもしれないけど、稽古場の最初にこのラストのナンバーの稽古をした時、慈英が歌えなくなってしまったんですよね。でも僕はその時の感覚だけはずーっと持ち続けて欲しいな、と思っていて。そして慈英がそれを毎回持ち続けてくれたからこそ、僕があの感動を最後まで受け取ることができたんだなと思います。すごくおちゃめなんですけど、人に対する愛情の濃い、そういう魅力のある方で、この作品でエドワードをやる人だったんだと思っております。

(川平・浦井へ)『ビッグ・フィッシュ』は親子の話でもありますが、浦井さんから見た川平さん、川平さんから見た浦井さんはどういった父、息子だったのかお聞かせください

浦井 慈英さんとのエピソードで印象に残っているのは、打ち上げの時に慈英さんの似顔絵が描かれたおめでとうのプレートを渡す時があって、その時慈英さんは「僕は本当に幸せだ!世界一Happyだよ!」というのを皆に言ってくれたんです。今回も父さんに「Happyだよ」って最後言ってもらえるように皆でやっていきたいですね。さっき会った時にも「おまえまた身長伸びたか!」って、本当の父親かのように僕を扱ってくれて、すごく幸せだなと思いました。そしてそれをずっと献身的に支えている霧矢さんの、なんだろうな、包み込む・・・男らしさというのか・・・(会場笑)女性の強さというか。本当に和気藹々とやっていけている気がします!

川平 (浦井に向かって)本当に身長伸びたんじゃないの?って思うんですけどね(笑)
前回は健ちゃんとは楽屋が隣で、いつも出番前に「健ちゃーん!イェーイ!フゥー!バイバーイ!」ってやっていて(会場笑)。心のウォーミングアップの最後の締めは健ちゃんとのやり取りで、そして僕は袖にスタンバイするんですが、それが毎回嬉しくて。実は水仙のシーンで僕の目線の先にウィルがいて、もうガン見しているんですけど、「あ~、心の支えになってくれているんだな」って思います。全員がサポート心にあふれたメンバーで、本当に嬉しかったです。最後の歌で、息子である健ちゃんと親子の絆を、グータッチで確かめて別れるんですが、その時のパワーみたいなのものは、僕忘れもしないです。

浦井 託されている感がすごくあります。また、それを今度は自分の息子にも受け渡さなきゃいけない責任も感じて。皆で涙して、アンサンブルの人たちも「慈英さんの目を見るとダメだ、涙が・・・!」っておっしゃっていて。

川平 それはもうこちらものしをつけて返すぐらいの想いで・・・(笑)
さっき白井さんもおっしゃったように、「慈英、そのエネルギーを絶対持ってて。ちゃんと歌ってほしいんだけれど、その揺らぎ、そのパッションは是非使ってください」と。ですからエドワードのフィット感が凄く良かったって言っていただけるのは、白井さんが、僕という人間を知ってくれて、そしていざなってくれたおかげですね。

(川平へ)本作では歌って踊って大砲で空を飛んで殴られて・・・と体力的にもとてもハードな公演だと思いますが、初演時、特に苦労されたエピソードと、それを踏まえて今作ではどう乗り切っていきたいと考えているのかを教えていただきたいです。

川平 大砲のシーンは、楽しかったんです!仲間に担いでもらって、ステージを一周かな。「あー、日生劇場で俺飛んでる!」っていう気持ちで(笑)。後にも先にも僕がそんな経験をできることはないだろう、と思いますけどね。袖に入ると確かに疲労感とかが出るんですけど、ステージ上では気持ちいいですよね。

霧矢 あれだけ動いてて凄いですよ(笑)

川平 ちょっとハイになってるのかなぁ?公演一回終わるごとにバタンキューだったのを覚えています。で、今回再演にあたって、ついに川平慈英、加圧トレーニングと高地トレーニングを始めてしまいました!いざやってみると凄いんですよ。今日本上陸したてなのかな?トレーニングスタジオで標高3,000mぐらいの気圧にして走るんです。

浦井 まだ元気になっていくんですね~

川平 違うの!身体はどんどんボロボロに・・・(笑)

浦井 ちなみにサウナは?

川平 サウナ!サウナは僕の日課、歯磨きみたいなもので、入らないと「あ~気持ち悪い!」ってなっちゃって。その3点セットで乗り越えようと思っています。でも、皆さんの、ファミリーのエネルギーが僕の一番の栄養ですね。

(川平さんへ)先ほどから「演じてるんですか?」というぐらいエドワードにフィットされているとのお話もありましたが、どの辺りが一番ご自身とフィットされていると思いますか?

川平 個人的に言わせてもらえば僕はエドワードとは全然違うと思っているんですが(笑)ウチナーンチュの、沖縄の血なのか・・・ちっちゃな話をおっきくするのは確かにそうですね。でも人から言われて「あ~そうなんだ」って思う、そんな感じなんですよ!とにかく役者って皆大変だと思うんですけど、毎秒毎秒それを生き抜くのに大変で、この作品は特に考える余裕がないんですよ。フルスロットルでエドワードを生き抜いている感じだったので、多分それがむしろ変に演じる部分が無くなって良かったんでしょうかね。今回もそうなるであろうと思います。そして多分今回は皆さんが大変な役回りになるであろうと思うので、皆の、チーム力・結束力が試される公演になるんじゃないかと思います。

お客様に向けて

白井 今回再演が決まりまして、再演でバージョンが変わることはあまりないんですけれど、この作品はキャスト・スタッフ、メンバーみんなが「なんとか再演を実現したい、実現しなければならないんじゃないか」と思ってその道を探して、模索していった結果、今回の“12 chairs version”という形になりました。だからこそ、主要キャストに全く同じメンバーが集まってくれて、これだけみんながこの作品を愛してくれていることを嬉しく思います。皆さんにもっともっとこの作品を届けたい、という想いでこの再演を創り上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。