名探偵シャーロック・ホームズの作者 コナン・ドイル
天才奇術師 ハリー・フーディーニ
二人のコンビが19世紀末期のロンドンで
ゴースト・ストーリーの嘘を暴いて回っていた。
人は彼らを「ゴーストクラブ」と呼んでいた・・・。

1895年のロンドン
シャーロック・ホームズの作者であるコナン・ドイルは頭を抱えていた。
「最後の事件」でシャーロック・ホームズは死に、小説は完結させたはずだった。
ところがファンからは苦情が殺到し、出版社も他の作品には目もくれない。
仕方なくシャーロック・ホームズを復活させようとするが、今度はアイデアが全く浮かばない。
そんなある日、コナン・ドイルは社交界の場で、当時ロンドンで流行っていた降霊術に騙され、亡き妻の指輪を奪われかける。

ペテンだ!!

群衆の中で叫ぶ声がする。
振り返ると、そこには一人の男が立っていた。
彼こそは当時、天才奇術師として名を馳せていたハリー・フーディーニ。
フーディーニは、本来人を楽しませるためのマジックで人々を騙す霊媒師たちを誰よりも憎んでおり、
高飛車な態度で霊媒師たちのインチキを次々に暴いてゆく。
その後姿に、コナン・ドイルはシャーロック・ホームズを重ねてしまう。

私とコンビを組みませんか?

コナン・ドイルは言う。

一緒にロンドン中の霊媒師の嘘を暴きませんか?
あなたと一緒に冒険すれば、
もう一度、シャーロック・ホームズを蘇らせることができる気がする!

意気投合した二人は、ロンドン中のゴースト・ストーリーの秘密を暴いてゆくことになる。
「ゴーストクラブ」として・・・。


今回は、コナン・ドイルに 石田彰
ハリー・フーディーニに 諏訪部順一
子供ながら呪われた劇場のオーナーであるクロフト卿に 朴璐美
そしてコナン・ドイルの頭の中に登場するシャーロック・ホームズ役に 井上和彦 を迎え
初の明治座でお届けいたします。
最も愛おしいゴーストの物語をお楽しみ下さい。


原作・脚本・演出 藤沢文翁


名作「シャーロック・ホームズ」シリーズの作者。プライドが高く、気取った態度の英国紳士だが、実際はとてもお人好しで怖がり。なんでゴーストクラブなんか作ったのか謎なくらい幽霊嫌いである。「最後の事件」でホームズを殺して以降スランプになっている。妄想の中に現れるホームズにからかわれながら、それでも新たな名作を書き上げ「自分はシャーロック・ホームズ以外も書ける」と世間に認めさせたいと思っている。知識が豊富で、実生活でも事件を解決してしまう人物ではあるが、人に騙されやすく、フーディーニに言わせれば「最高の客」だそうである。

アメリカからやってきた天才奇術師。鋭い眼光でありとあらゆる霊媒師の嘘を見破り、更にその目の前でより複雑なマジックを披露して叩きのめす、ということを趣味としている。サディスティックな男。幽霊や霊媒師、怪奇現象などのインチキに対して尋常ではない怒りを抱いている。ドイル卿に言わせれば「鮮やかな手法で謎解きをするその姿は、どこかシャーロック・ホームズと重なるものがある」…らしい。ドイル卿と異なり、貧乏のどん底から這い上がってきた天才であり、どこか暗い影を持つ。

15歳の少年。ランカスター家の血を引く名門に生まれる。幼いころに両親に先立たれ、クロフト家の財産と爵位を若くして引き継ぐことになる。幼いころより大人たちの欲望の中で生きてきたため、年齢のわりに冷めた目を持つ少年。クロフト家クロフト城の現当主。相続した不動産における幽霊事件に悩まされており、事件の真相を暴くようゴーストクラブに依頼する。自由で聡明なフーディーニに憧れており、兄のように慕う。いつかアメリカを旅行するのが夢。

コナン・ドイル卿の小説に登場する架空の人物。言わずと知れた名探偵、シャーロック・ホームズである。極めて冷静沈着で行動的、ヴァイオリンが得意。ドイル卿の妄想の中に現れ、ホームズ特有の皮肉屋な喋り方で、「どうして自分を殺したんだ?」と恨み節。なんとか新作を書こうとあがくドイル卿を哀れに思っている。フーディーニと比較されることを良しとしておらず、「あの若造」と呼んでいる。