ミュージカル 『ビューティフル』
2017年製作発表記者会見レポート

「A NATURAL WOMAN」「YOU’VE GOT A FRIEND」などの世界的なヒット曲で知られ、絶大な人気を誇るアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キング。彼女の波乱万丈の半生を数々の名曲と共に描いたミュージカル『ビューティフル』は、演劇界最高峰のトニー賞主演女優賞をはじめ、グラミー賞やイギリスのオリヴィエ賞などを受賞。現在もブロードウェイだけでなく、全米ツアーやロンドン公演など各地でロングランを続ける本作が、満を持して日本版初上陸を果たします。

7月の開幕に先駆け、キャスト陣が登壇し、プレス関係者及び一般オーディエンスの皆様が列席する中、製作発表記者会見が開催されました。登壇者の歌唱披露、ご挨拶、および質疑応答の模様をお届け致します。

歌唱披露

まず、『ビューティフル』のミュージカルナンバーから2曲が披露されました。
1曲目はキャロル・キング役の水樹奈々さんと平原綾香さんによる♪「BEAUTIFUL」。この曲は作品のタイトルにもなっていますが、数々の困難を乗り越え人生を切りひらいてゆく主人公のキャロル・キングが、ラストシーンに大舞台で歌い上げる1曲です。この日はWキャストの2人が歌う製作発表スペシャルバージョンが披露されました。ピアノ伴奏は、本作品の音楽監督、前嶋康明さんです。

2曲目は水樹奈々さん、平原綾香さん、バリー・マン役の中川晃教さん、ジェリー・ゴフィン役の伊礼彼方さん、シンシア・ワイル役のソニンさん、ドニー・カーシュナー役の武田真治さん、ジーニー・クライン役の剣幸さんによる♪「YOU’VE GOT A FRIEND」製作発表バージョンです。

ご挨拶

水樹奈々
こんにちは、今回キャロル・キング役を務めさせていただきます、水樹奈々と申します。初めてのミュージカルへのチャレンジとなりますので、非常に緊張しております。今年デビュー20周年を迎える大きな節目のタイミングでこのようなチャレンジをさせていただけるということが本当に幸せです。新人になった気持ちで全力でぶつかっていきたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。
平原綾香
皆さん、こんにちは、キャロル・キング役の平原綾香です。私は以前『オペラ座の怪人』の続編に出演したのがミュージカル1回目なので今回は2回目となりますが、本当にまだ素人です。でもこうやって今日ここにいらっしゃるメンバーが本当に凄い方々で、一緒に練習した時に幸せな気持ちになりました。本当に歌声も素晴らしいし、人柄も素晴らしいし、そしてこのミュージカルの素晴らしさ、曲もストーリーも本当にすべてが泣ける作品です。どうか7月・8月、皆さんの大切な人と、もちろん1人でも構いませんので、たくさんの方に来ていただけるよう、しっかり精進して頑張って、奈々ちゃんと…お互い別々に出ますけど(笑)、頑張っていきたいと思います。どうぞ長い時間ですけども宜しくお願いします。
中川晃教
皆さんおはようございます、バリー・マン役をやらせていただきます中川晃教です。大好きなキャロル・キングのナンバーを今日お届け出来て、僕もちょっとこの作品にまだ準備が出来ていないところもあるんですが、心からまず入りました。やっぱり音楽っていうのは凄く良いなと思います。近年やらせていただいている作品は特に音楽というものが主役と言っても過言ではないくらい、その力を秘めたミュージカルがたくさん日本でも上演されるようになってきているのを実感しています。その中でもやはりキャロル・キングは誰もが知ってる名曲が詰まってる、そんなこの『ビューティフル』というミュージカルになることを確信しています。この公演の初日までまだ時間はありますけども、たくさんの曲を口ずさんでいただきながら、劇場に足を運んでいただけたらいいなと思っています。どうぞ一緒に盛り上げていただけたら嬉しく思います。本日は宜しくお願い致します。
伊礼彼方
伊礼彼方です、おはようございます。朝早くからありがとうございます。素敵なメンバー、素敵なキャロル・キングを傷つける最低の男の役です(笑)。8月はそういったちょっと生っぽいところも楽しんでいただけたらなと思っています。傷つけるのは得意なんで、気をつけてください(笑)。宜しくお願いします。
ソニン
シンシア・ワイル役をやらせていただきますソニンです、宜しくお願いします。クリエイター役を演じるのが初めてでして、私の中でチャレンジだとは思うんですが、シンシアはダンスと女優の訓練もしていたということで、自分に凄く通じるところがあるんじゃないかなと思いますので、新たなチャレンジに向き合いつつ、自分のシンシア・ワイルを演じることが出来たらなと思っております。そして今回帝国劇場の中では珍しい色というか、音楽をすごく楽しむ大人のミュージカルになるんじゃないかなと思っているんですけども、メンバーもそういう音を楽しむに相応しい、アーティスト色が強いメンバーになっておりますので、私もお稽古の時から本当にみんな自由でですね、フェイク入れまくっちゃって、これどうなっちゃうんだみたいな感じがありましたけども(笑)。それもすごくこの舞台に活きると思いますので、帝国劇場でやっている一味違うミュージカルをぜひ皆さんに楽しみに来てほしいと思います。ぜひ応援してください、宜しくお願いします。
武田真治
皆さんおはようございます、武田真治です。いまチラッと聞いていただいただけでも、本当にそれぞれ七者七様の歌声があるなか、私もほんのちょっと歌うんです(笑)。凄く楽しみなんですよね。今の歌の割り振りで気づいていただいた通り、少なめです(笑)。その部分は期待されていないんだろうなと思うんですが、私の場合は芸能生活今年27年目です。27年間培ってきた人柄で、このカンパニーに溶け込んでいけたらなと思っています。上演される頃には一番の注目作になることは間違いありません。皆さん何度でも劇場に足を運んでいただけるような作品に仕上げていきたいと思います。宜しくお願いします。
剣 幸
剣幸です。音楽が我々に与えてくれるものというのは計り知れないと思います。特にキャロル・キングの歌に我々世代はもの凄く勇気づけられたなと思ってます。いま武田さんが芸能生活27年と言われたところで皆さんが「ワ~ッ!」となったので、その後で私は何も言えなくなりました(笑)。だんだんこういう現場に行くと私が最長老ということが多くなってきましたが今回はやっぱりキャロル・キングの母親ということで、そういう素晴らしい人物を育てた母をどう演じるか、今から凄く楽しみにしてますし、皆も見守りながら楽しい現場になったらいいなと思っております。宜しくお願い致します。

メディアとの質疑応答

Q 水樹奈々さんへ質問です。ご出演が決まる前に、たまたまブロードウェイでこの作品をご覧になったそうですが、その時の感想と、物語のキャロルとご自身の共通点がありましたら教えてください。

水樹奈々:

初めてNYに母と旅行に行った時に、『ビューティフル』のプレビュー公演を見させて頂いたんです。「こんなミュージカルがあって素晴らしいのでぜひ見た方が良い」と、NYでたまたま合流した先輩の役者さんから紹介いただいて。当日券を取って見に行ったんですけど、ものすごく感動しました。その時に思ったのが、ジュークボックスミュージカルの素晴らしい名曲の数々、そのライヴ感と、素晴らしい歌声、その音楽からたくさんのパワーをいただいたんですけれども、ものすごく私の胸に刺さったのは、キャロルの生き方だったんです。「人生を生きる」っていう台詞だったり、その立ち振る舞いに感動して、一気に作品に引き込まれたのを覚えています。登場人物全員がキャロルの味方になるんですよね。誰か一人に全員がエネルギーを向けるミュージカルって珍しいんじゃないかなって思いながら見てました。

キャロルとの共通点ですが、思い込んだら一直線なところはすごく似ていると思います。ジェリー・ゴフィンに出会った時にグワーッと一気に盛り上がって10代で結婚するっていう、そういう決断ってなかなか出来ないことだと思うんですよね。そういうことをやってしまう、そして、自伝を読ませていただいた時に、ずっとピアノの練習をしていて、次のコードの音を教えてくれるまで一番最初に教えてもらった音を弾き続けるっていう描写があるんですけど(笑)。「早く次を教えて、そうじゃないと完璧に弾けるまでやり続ける」っていうキャロルの真っ直ぐで、ブレないところが、もしかしたら似ているかもしれないなと思いました。

Q 平原綾香さんへ質問です。キャロル・キングの曲を歌われたことがあるそうですが、楽曲の印象と、今回のキャロルという役をどのように捉えていらっしゃるかお聞かせください。

平原綾香:

歌ったのは♪「YOU’VE GOT A FRIEND」だけで、キャロル・キングの全てを知っているわけではないので、これから勉強が始まるんですけども、全てが名曲で。何が良いかって、やっぱり、いつも自分の味方になってくれる楽曲が多いと思います。特に一生懸命生きていて、また、働いている女性を応援してくれる、もちろん男性もそうですけども、そういう味方になってくれる楽曲が多い印象があります。
役作りについては、まず歌手の役で、架空の人物ではなく、今も第一線で活躍されている方なので凄く難しいなと。またキャロル・キングの名曲をずっと英語で聞いてきたけれど、時に英語でまた時に日本語で歌わなきゃいけないという難しさを感じています。でも日本語の訳を湯川れい子さんがしてくださるので、先程歌った♪「BEAUTIFUL」もすごく訳詞が好きで、感動して歌っているので、その日本語もしっかり伝えられるような役でいたいと思っています。また、キャロル・キングは、歌も素晴らしいし楽曲も素晴らしいけど、皆キャロル・キングの人間性に惹かれて、その人間性の中でストーリーが回っていくような感じがしているので、彼女の音楽の素晴らしさだけじゃなくて、彼女の人間性も一緒に演じられるような、演技が出来たらいいなと思っています。あともう一つ、夢なんですけど、先程♪「YOU’VE GOT A FRIEND」を歌った時もそうでしたが、皆すごく学生みたいな感じで。歌うと凄いけど、話し出すとみんなお笑い系で(笑)、そこに親近感を覚えて「あ、私はこのままでいいんだ」と思えたというか(笑)。そこが凄く嬉しかったですね。私は素人だけど皆すごく優しくしてくれて、素晴らしい人に出会えたと思っています。この作品は出演者の絆で出来上がる作品だと思うので、本気で皆さんと友達・親友になれるようにこれからやっていきたいと思っています。

Q キャストの皆様に伺います。キャロル・キングの歌でお好きな曲を教えて下さい。

水樹奈々:

迷いますけれど・・・♪「IT’S TOO LATE」です。あのアレンジ、地を這うようなベースの音とか、グワーッと鳥肌がたちますね。(武田真治さんから「エロいね」とのコメントを受けて)すみません、エロい曲が好きなんです(笑)。

平原綾香:
アレサ・フランクリンが歌っていた♪「(YOU MAKE ME FEEL LIKE)A NATURAL WOMAN」が格好いいですね。キャロル自身が歌う♪「A NATURAL WOMAN」も最高で、ソウルを感じます。でも、独りで歌うような曲より皆で歌う曲の方が好きです。♪「YOU’VE GOT A FRIEND」は外せないですね。
中川晃教:
(歌いながら)♫YOU MAKE ME FEEL~YOU MAKE ME FEEL ~YOU MAKE ME FEEL ~LIKE A NATURAL WOMAN♫~、この曲はキャロルがアレサ・フランクリンの為に書いた曲ですよね。僕はアレサ・フランクリンが好きで聴いていましたが、色々な人がキャロルの曲をカバーしていて、「この曲好きだな」って辿って行くとキャロル・キングの曲だったりという事がありました。その中でも♪「A NATURAL WOMAN」は大好きです。平原さんと一緒でした。
伊礼彼方:
僕は母親の影響で60~70年代の曲を家で良く聴いていました。中でも♪「YOU’VE GOT A FRIEND」が好きで、この曲はもっとスローテンポで哀愁漂うイメージだったのですが、このミュージカルのアレンジは、皆で掛け合いをしたり、すごく楽しげですね。それと、小さい頃僕はキャロルの曲とは知らずに♪「THE LOCOMOTION」で踊っていたので、フォークソングを書く人というイメージでしたが、ダンスミュージックも作るんだと、感動しました。
ソニン:
キャロル・キングと聞いて最初に思い浮かべるのは♪「I FEEL THE EARTH MOVE」ですね。この曲は『ビューティフル』が描いている物語の後くらいに作られたのではなかったかと・・・女性としても人間としてもぐんとひとつ強くなった時期に書いていて、キャロルの根っこの強い部分やロックな気持ちが感じられるし、ノリが好きですね。キャロル・キングと言えばこの歌、という時に挙げますね。
武田真治:
♪「JAZZMAN」という曲があって、今回『ビューティフル』の中では歌われないのですが、キャロル・キングがサックス奏者のトム・スコットとデュエットするように歌う曲なんですね。歌に寄り添うサックスのフレーズが素敵で「ジャズマンよ、私の鬱憤を晴らして、あなたは宗教よりも私を納得させる」といった歌詞なので、サックスをやってて良かったな、と思う歌なんです(会場笑)。(伊礼さんから「サックスの話になっているよ」とのコメントに)すみません、サックスの話になってしまいました。そういうところあるんです。(会場笑)
剣 幸:
やはりベスト3は♪「THE LOCOMOTION」「IT’S TOO LATE」「YOU’VE GOT A FRIEND」ですが・・・今は、このメンバーをどう見守っていったら良いのかなと不安です(会場笑)。でも本当に、素晴らしい曲ばかりですね。

Q 中川さん、伊礼さん、ソニンさん、武田さん、剣さんにお伺いします。皆さんは帝国劇場の作品に出演経験がおありですが、帝劇で経験された想い出深いエピソードがありましたらお聞かせください。

中川晃教:

小学校の時に市村正親さんや本田美奈子.さんが出演された『ミス・サイゴン』を観劇したのが想い出です。オケピットが目の前にある最前列で拝見して、「こんな世界があるんだ!」と非現実の世界に誘われ、音楽や登場人物に感情移入し、物語が終わった後、「凄いものを観た!」と感動したのを覚えています。

伊礼彼方:

(中川さんのコメントに対して)真面目だなぁ(笑)。僕はいま帝劇で『王家の紋章』という作品に出演していますが、『王家-』のヒロインで僕の妹役がキャロルという名前なんですよ。『ビューティフル』では自分の妻の名前がキャロルですから、8月の終わりまで僕はずっとキャロルという名前を呼び続ける事になります(笑)。それが想い出になるでしょうね。

ソニン:

帝劇の作品はセットなどが大きい事もあり、以前本番中にトラブルが起こった事もありました。ハプニングではありますが、キャスト・スタッフがお客様と共に特別な時間を乗り越える感じがあり、役者魂に火が付いてアドリブも出たりして、これぞ生=ライブだな、素晴らしいなと感じましたね。

武田真治:

僕は2008年に『エリザベート』で初めて帝劇に出演して以来9年ぶりです。出演当時、帝国劇場に立っている事を厳粛に受け止めていましたが、舞台に上がる度に、その思いは深まった気がします。個人的には9年振り・・・そしてまた9年後・・・(会場笑)・・・にならないよう、一生懸命頑張ります。

剣 幸:
ほぼ30年前、宝塚歌劇団を退団して女優として初めて舞台に立たせて頂いたのが帝劇です。田原俊彦さんと『心を繋ぐ6ペンス』で共演したのですが、「女優」に成り立てで、田原さんと手を繋ぐ時に(男性のようにリードして)いつも手を下から受けようとして、「ごめんね」と謝っていました(笑)。懐かしいですね。

登壇者を代表して最後のご挨拶

平原綾香:

素晴らしい共演者の皆さんと並ぶ事が出来て夢のようです。私はサックスプレイヤーを目指しながら歌うようになったので自分では(歌のキャリアについて)まだまだこれからだと思っているのですが、ミュージカルへの出演によって色々教えていただけますし、今回の作品でもまた沢山のものをいただける気がしています。素晴らしいキャストと作品に携われる事を嬉しく思っております。水樹奈々さんとは一緒の舞台に立つ事が出来なくて寂しいのですが、以前から仲良くしている奈々さんとWキャストで嬉しいです。自分に出来る事を精一杯やって行きますので、どうぞ応援を宜しくお願い致します。

水樹奈々:

ミュージカルは初めての経験になりますので、ふつつか者ですが宜しくお願いします!という気持ちで一杯です。イロハの『イ』から学んでいかなければならないことだらけで、キャストの皆さんともまだ数回しかお会いしていませんが、このメンバーなら凄いものが生まれそうだな、という予感しかしません!皆さんパワフルで前向きで愛が一杯のメンバーで、『ビューティフル』に相応しい方達ですね。足を引っ張らないように全力で学んで、吸収して、初めてのミュージカルに全てをぶつけたいと思っております。宜しくお願い致します。

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