ミュージカル 『ビューティフル』
女性キャストインタビュー


(左から、清水彩花、菅谷真理恵、高城奈月子、塚本直、MARIA-E、ラリソン彩華)

ミュージカル『ビューティフル』の主人公のキャロル・キング(水樹奈々・平原綾香)やそのパートナーであるジェリー・ゴフィン(伊礼彼方)、ライバルのバリー・マン(中川晃教)&シンシア・ワイル(ソニン)といった面々は、音楽を作り出すクリエイター。業界で言えば、いわば“裏方”の人々であり、彼らが生み出す楽曲は、数々のスターたちによって歌われヒットしていきます。劇中、それらのヒットソングを歌うスターたちに扮するキャストも、歌唱力抜群かつ個性豊かなメンバーが揃いました。彼ら彼女らの魅力を伝えんと、座談会を開催! 意外な素顔からおススメのシーンまでを存分に語ってもらいました。女性チーム、清水彩花、菅谷真理恵、高城奈月子、塚本直、MARIA-E、ラリソン彩華をご紹介!!

2020年版『ビューティフル』の現場は?

―― まずは自己紹介からお願いします。

清水彩花

普段は主にミュージカルの舞台に出ています。仕事をしていないとずっと家に引きこもっているタイプなので自粛期間は廃人状態で大変でした(笑)。そんなブランクもあった上に今回このカンパニーには初参加ですので、最初に稽古場に入る時はどうしようかと思ったのですが、皆さんが温かく迎えてくださって、今は楽しく稽古に励んでいます。

菅谷真理恵

普段は舞台での活動のほかに、歌の活動、デザイナー、それからマリンスポーツのインストラクターをやっています。今年の夏は1か月半、奄美で生活しながら海の仕事をしていました。3年前の『ビューティフル』の時の私の肌色は、海で焼いた実際の肌です。今もですが(笑)。

高城奈月子

本職はゴスペルシンガーです。SOULMATICSというグループで活動しています。最近はミュージカルの歌唱指導の仕事もやらせていただいています。あとは4歳になる娘の母として家事育児も頑張ってます。

塚本直

私は普段はシンガーとして活動しています。ほかにはボイストレーナーや、専門学校の講師として歌を教える仕事もやっています。

MARIA-E

MARIA-Eです。マリアと呼ばれたりイーちゃんと呼ばれたりしています。私は3年前の『ビューティフル』が初めてのミュージカル出演でした。小さい頃はアイドルをやっていて、中学生頃から本格的に歌をはじめて、カラオケバトルや「ゴットタン」といったテレビ番組に出させてもらっていました。そこからやっといま、やりたかったミュージカルが出来ている状況で、とても楽しく充実した時間を過ごしています。ほかには物を作るのが好きで、家ではハンドメイド商品を作ったりもしています。

ラリソン彩華

私はお仕事はミュージカルが中心で、たまにライブをやったりもしています。プライベートでは……もともと韓国が好きだったのですが自粛期間中に韓国ドラマにはまり、今は韓国語を勉強しています。資格を取ったりするのが好きなので次はどうしようかな、韓国語かな、ワインも好きなのでその方向の勉強もしたいな、と考え中です。

――『ビューティフル』は2017年に日本初演されました。今回の再演は、初演に出演していた方が多いですが、清水さんと塚本さんは初参加ですね。おふたりから見てこの現場はどんな印象ですか?

塚本

もうみんなが怖くて怖くて……(笑)。

一同

やめて(笑)!

塚本

本当に皆さん、圧が強い(笑)。つまり、個性が豊かです。個性だけでなく歌声もバラエティに富んでいます。この作品の見どころはひとりひとりのシンガーの歌声なんだなと思うくらい、本読みの時点で皆さんの歌声に感動して、涙が出そうでした。

清水

ひとりひとりがプロフェッショナルですね。皆さんの役の深め方もすごく、舞台上に生きているなと感じます。この完成された中に入っていくのは最初少し怖くもあったのですが、皆さんについていこうと頑張っています。楽しいです。

塚本

うん、楽しいです!

――菅谷さん、高城さん、MARIAさん、ラリソンさんは初演からの続投です。今回、再演版のお稽古はどんな感じですか?

菅谷

3年前に作り上げたベースのラインがあったので、すぐにクオリティを高めていく稽古に入れました。初参加の彩花ちゃんと直ちゃんもみんなで合わせる前から稽古に入っていたので、最初の歌稽古から遜色なかった。思い出す作業というより高めていく作業がスムーズにできていて、無駄がない稽古場だなと感じています。

高城

初演のときは2か月くらい稽古をやっていたもんね。しかも最初の1か月はほぼダンス。その時間が必要ないというのは大きいね。

MARIA

もう(ダンス)できちゃった!みたいな。

菅谷

この作品のダンスは、おそらく外から見るよりも細かいポイントがいっぱいあるんです。この時代の雰囲気を出すために、例えば手を伸ばすにしても、そこに行くまでの呼吸が大事。ダンスで言えば今回は、それを再確認する稽古が多かったです。

MARIA

私は実はあんまり、前回のことを覚えていないんです……。初ミュージカルで「かつらとは……?」「上手・下手って?」という状態で、とにかく必死でやっていたので。あとは「こんなにたくさんの人の前で歌えるんだ、わーい!」みたいな(笑)。帝国劇場でソロを歌わせえてもらえるなんて、今思えばすごいことなんですが、3年前はすごいことだと思っていなかった。3年の間に少しずつ舞台の経験をさせてもらって、改めてすごいことをさせてもらっていたんだなとやっと実感しています。

ラリソン

私は最初にまだ少女時代のキャロルとわちゃわちゃするシーンがあるのですが、そこが18歳の設定なんですね。3年前はそこをキャピキャピやっていたようなのですが、3年の間に落ち着いてしまったらしく(笑)、この間「ちょっと若さが足りない」とダメ出しされてしまいました。若さを取り戻す作業が大変です(苦笑)。3年前は自然にできていたものが、気合を入れないとできない!

高城

時間って残酷(笑)。

ラリソン

でもこの現場、面白い人が多いし、本当にお芝居をしていて楽しいです。3年たって遊びを入れだしている人もいるから。

塚本

特に男子が(笑)。

ラリソン

女子はみんなしっかりしていますよね。その中で男子がふざけているのが楽しい。新しいふたりが入っても、仲の良い空気は変わらない、さらに親密になっていると感じます。

――初演はブロードウェイから海外スタッフが来日されていましたが、今回はコロナ禍で叶わず、リモートで指導されているときいています。

高城

その分、ダンスキャプテン(菅谷)がすごく頼りになります!

塚本

とても細かく見てくれています。

菅谷

初演のときに時間がかかっていた部分というのは、本当にこだわりポイントをひたすら叩き込まれる稽古だったんです。そのこだわりポイントを「こうだったよね」と伝える作業が(ダンスキャプテンとして)メインです。

高城

初演の振付(リステージ)のジョイス(・チッティック)も愛のある鬼コーチでしたが、今その鬼コーチぶりが真理恵ちゃんに乗り移っています(笑)。

菅谷

でもみんなどんどん良くなっていくし、一回やっただけでガラっと変わる。仕上がりが、初演と違うんじゃないかな!

―― そして高城さんは本作の歌唱指導もご担当されています。

高城

はい。私がどんなサウンドにしたいかではなく、歌の方も前回ブロードウェイの方からアレンジャーであるジェイソンさん(ジェイソン・ハウランド)が来日して細かく指導してくださっていたんです。その時のメモをもとに、「ジェイソンはこう言っていた」ということをひたすら再現する作業です。

菅谷

どっちも一緒だね。

高城

うん。ジェイソンもジョイスも「この時代はこうだから」「キャロルはこういう人だからこうなんだ」と全部理由を持っていて、それを教わっていたのでやりやすかったね。それがなかったら大変だったと思う。

それぞれの注目ポイント

――本作での皆さんの注目すべきポイント、お互い見ていて「ここが素敵」というポイントを教えてください。まずはラリソンさんについて。

菅谷

さっき話題にも上がったカレッジのシーンがマジで可愛い。私とラリはほぼ同い年なのですが、私にはあれはできない(笑)。

塚本

キャラ的に違うから……(笑)。

高城

真理恵ちゃんはお母さん役が上手だったし!

菅谷

そうなんです、一度、本読みのときに剣(幸)さんがいらっしゃらず、代役をやってくれと言われまして……。

高城

剣さん級の貫禄で……しっかりお母さんでしたよ。

ラリソン

びっくりした(笑)。

菅谷

でもラリは本当にかわいい。キャロルは劇中どんどん年齢を重ねていくけれど、ラリと一緒に冒頭に出てくることで「キャロル・キングはデビューした時あんなに若かったんだ」ってわかる。あのキャピキャピは重要!

ラリソン

もっとキャピキャピできるように頑張る!

高城

あとは2幕の冒頭でラリちゃんは『Chains』という曲を歌っているんですが、すごく低いパートを担当しているんです。もともとは男性のパートなんですが、ミュージカルでは女性が歌うアレンジなので。ラリちゃんの低音にもご注目です!

ラリソン

あのシーンは私も好きです。キャロルと、彩花ちゃんと一緒に歌うんですが、アカペラになるんです。一般的にミュージカルでは2幕のあたまって派手な始まりが多いと思うんですが、そういう感じではない。最初に音があって、パッとアカペラになる。緊張するところではありますが、それがすごく素敵で見どころだなと思って頑張っています。

――では次にMARIAさんの素敵なところを……。

高城

MARIAはあそこだよね、シュレルズの……。
※黒人4人組歌手・シュレルズ役は高城、菅谷、塚本、MARIA

塚本

わたしもそれを思いついたんだけど最初に言うのはやめておこうと思ったのに(笑)。

高城

(笑)。キャロルが「弦楽器のセクションを入れる」と言ったあと、シュレルズ4人のうち3人が「弦楽器?」「ヴァイオリン?」「チェロ?」って言うんです。当然もうひとりも台詞あるかと思いきや、ないんですが、そこをMARIAが顔で芝居をしている(笑)。

塚本

それがおかしいんです。MARIAは私の前にいるんですが、言いたくても言えないって感じでちょっと動くのが(笑)。

MARIA

でもやりすぎるとダメなんですよ(笑)。3年前、よくわたしが怒られていたのは「MARIA、No face、No wink」って。喋っていないのにうるさいって言われる……。

菅谷

台詞がないのにひとりだけダメ出しされる(笑)。

MARIA

そうなんです。だから今回は動かないで(シュレルズの)貫禄を出せるかというのが自分の中でひとつ課題です!

高城

はい、そこがMARIAのみどころでした!

MARIA

あるある、もっとある!『The Locomotion』やってるよ!

菅谷

(笑)。ほんとチャーミングよ。(『The Locomotion』を歌うリトル・エヴァの)最初の「こんにちは!」の台詞に注目してほしい。

塚本

あと「ぜんぜんわかんなーい」ね!

菅谷

でも『The Locomotion』がキャロルの曲なんだって知らなかった人も多いと思う。しかも実際にキャロルのベビーシッターが歌っていたというエピソードもちゃんと出てくるから。重要なシーンだよね。

清水

私もこの曲がキャロル作曲だって、このミュージカルで知った!

ラリソン

客観的に見てもMARIAは3年前に比べて余裕が出たのか、『The Locomotion』の表情もキラキラしている。注目だよね。

MARIA

それと早替えも注目してほしいです!

高城

シュレルズもそうだよね。

菅谷

魔法がかかるんですよね、あの瞬間に。

――では次に塚本さんについて。

ラリソン

色々なところで直ちゃんの声がよく響いています!

清水

高音がすばらしい。『Beautiful』のラストの高音、あんな綺麗な音でずっと伸ばせるの、本当にすごい。

MARIA

直ちゃんの声だってすぐわかるよね。

塚本

じゃあ影コーラスが私の見どころということで……(笑)。

清水

だってソロが素敵なのは当然だから!

塚本

ありがとう(笑)。

――わかりやすいところではジャネールを演じていらっしゃいますね。
※ジャネール・ウッズ=『One Fine Day』を歌う歌手。ジェリーの浮気相手

塚本

はい、そうです。

高城

初めてジェリーと会うところの「すいません」って台詞のところ好き!

MARIA

あのあとふたりに何があるんやろうなーって想像させられる、ちゃんとそういう芝居をするよね。

塚本

ありがとうございます。頑張りまーす。

――高城さんはシュレルズのリードボーカル、シャーリーがありますね。

高城

シュレルズは登場前にみんなが「シュレルズが」「シュレルズの曲を俺たちが」みたいに話題にしていて、満を持して出ていくみたいなところがある(笑)。白人(キャロル)が書いた曲というだけでなく、まだ当時のキャロルは非常に若く、子どもが書いた曲だというのもあり拒否するんです。実際にシュレルズさんたちはキャロルの曲を聴いた時「カントリーみたいだから嫌」と言ったそうで、それがそのまま台詞にもなっています。「私たちが求めるサウンドになったら歌ってあげてもいいわよ」と言ってから、『Will You Love Me Tomorrow ?』のゴージャスなバージョンになっていくところが素敵。それこそそこで私たちに魔法がかかります。

MARIA

なつこさんが歩いてくると、すごくゴージャスです。

高城

「語らずして出るオーラ」は初演の時ずいぶんジョイスに指導されました。出てきかたが嘘だって言われて。「Be yourself、be NATSU」って。あなたはシュレルズで、スターだけれど、それ以上にナツとして自分自身で歩いて来いって。だから今回、稽古に入る前から自主練でその歩き方をやっていました。でもあのシーンはやっていてめちゃくちゃ気持ちいいです。

菅谷

私、ルシールも好きよ。
※ルシール=プロデューサーのドニー(武田真治)の秘書

ラリソン

なっちゃんルシール、3年前より今回の方が怖い!

一同

(笑)

高城

ほんとー!?

塚本

たしかに。みんなみんなドキドキするよね。

清水

えぇ、私には優しいよ。

塚本

なにそれ!

高城

ああそう、彩花ちゃんは友達なの(笑)。ルシールはみんながドニーに譜面を持ち込んで(売り込みに)きて、それをドニーに渡すかどうか決めるゲートウェイなので「ダメ」とか非情に却下したりしているんですが、彩花ちゃんが「何か仕事ない?」って来ると「ちょっと待ってね……」ってやってます(笑)。

清水

すごい親身になってくれるんです。

高城

そうそう、そんな細かい芝居をしています(笑)。

――では次に菅谷さんの見どころを。

高城

真理恵ちゃんはいついかなる時も、姿が美しい。カレッジのシーンでラジオを持って通り過ぎるところがあるのですが、歩いてくるだけで「ラテンの人が来た」ってわかります。

菅谷

あー、あそこ悩んでいるんだから……!

高城

貫禄ありすぎて大学生に見えないって(笑)?

菅谷

だから私、ラリを見てすごく研究してるの。カレッジ生のウキウキ感を出そうと。あのシーンって一瞬なんだけれど意外と印象に残るでしょ。ボビー・ヴィーという当時アイドル的に若い子たちの間ではやった人のラジオを聴きながら「ボビー・ヴィーだ!」という芝居をしないといけないのですが、最近は舞台に出る前にちょうど裏にいる伊礼彼方君と山田元君のところで「ね、ほらほらボビー・ヴィーだよ、聴いて!」って言ってから舞台に上がるようにしています(笑)。

塚本

そうやって気分を上げているんだね。

菅谷

上げているんだけど、歩くと貫禄があるって言われちゃう……。ゆっくり歩いてと言われていることもあって……。

高城

体幹がしっかりしている人の姿勢の良さってあるじゃないですか。それが出ちゃうんだよね。

ラリソン

歩き方、綺麗よね。(ダンスキャプテンとして)指摘も的確だし。

菅谷

シュレルズの振付も激しいわけじゃないけれど、動く筋肉の量が多くて気を遣わないといけないパーツが多い。なんでこの姿勢で止まるの!?という美しさがあったりする。それは自分でも気を付けているポイントですし、みんなもそうなったら美しいなと思ってチェックしているところです。

高城

うん、『One Fine Day』なんかも踊りながら移動するのがけっこう難しかったりするのですが、前に真理恵ちゃんがいるから助かる。真理恵ちゃんと同じように動こうとすると、綺麗になれる気がします。

MARIA

あと『Uptown』!
※2幕、バーで菅谷が歌うナンバー

清水

ふつうに聴き入っちゃう~。

菅谷

あのシーンは唯一“スター”という枠組みではない役なんです。素というわけではありませんが、私たちが普段ライブに出るようなイメージで歌える。シンガーで、このライブハウスと契約をしていて、気心の知れたバンドと歌う感覚。リラックスできてやっていて楽しいシーンです。

MARIA

うん、お酒を飲みたくなります。

菅谷

カレッジとのギャップにぜひ注目してください(笑)。

――そして清水さんの素敵なところは?

塚本

何といっても『Pleasant Valley Sunday』だよね。

MARIA

めっちゃ好き!

菅谷

あのマイク重いんだよね。

清水

重い。マイクを持って出ないといけないんですが、それが片手で持ってギリギリくらいの重さで。今度一度持ってみて、重いから~!

菅谷

直ちゃんもだけれど、前回もいたよねっていう存在感。私たちシュレルズの4人とラリちゃん・彩花ちゃんのふたりとは一緒にダンスをしたりということはあまりないんだけれど、少しの接点だけでもなんてチャーミングなんだって思う。その魅力のままに「……キャロル……」って出てくるから……。
※清水さん扮するマリリンとジェリー(伊礼彼方)の浮気シーンのことを言っています

塚本

また彩花ちゃん、芝居がうまいから。「やばい」みたいなのがよく出ていて(笑)。

菅谷

キャロルが「ジェリー、いるの?」って来た時の「いないわよ……」がセクシーなの! 絶対いるじゃん、ってわかる(笑)。マリリンの魅力にジェリーが負けたか、って思うよね。セクシー担当の衣裳も早く見たい(笑)。

清水

そのシーンは台詞は二言しかないんだけれど、ただの悪い女じゃないマリリンの人柄もちょっと出したいなというのはあります。二言なんだけれどなんて難しい二言なんだ、と思いながらやっています。

菅谷

キャロルはマリリンのこと「いい人だ」って言ってるしね。……ってことは相当マリリン、たち悪いよね!

清水

キャー(笑)。でも仕事面ではキャロルともいい関係性だったと思うから、あえて裏切ったわけじゃないと思うんだ……。

高城

うん、悪いのはジェリーです(笑)。でも実際のジェリーの写真を見ると、本当にカッコいい。これはしょうがない、って思っちゃう。あの顔に生まれたのがかわいそうだった。

MARIA

そうね、しょうがない。

菅谷

その顔にみんなやられていく(笑)。そのジェリーの良さ、悪さを引き出す役割だからね。

清水

頑張ります!

そのほか、ツボなシーンは……

――主人公のキャロルは水樹奈々さんと平原綾香さんのWキャストです。やっていて「こんなところが違って面白い」というポイントを教えてください。

ラリソン

全然違いますね。

高城

全然違いすぎますね。

塚本

本当に台詞ひとつとっても受ける印象が全然違うし、歌も、歌いまわしも、言葉の持っていきかたも違う。でもそれぞれのいいところがめちゃくちゃ出ています。

ラリソン

性格が違うキャロルという感じがします。

高城

静と動という感じ。静があーやで、動が奈々ちゃん。常に感情が動いていてエネルギーが出ている奈々ちゃんと、どっしり受け止めるあーや。

菅谷

私は野心と本能、という印象かな。あーやは「これで成功するんだ!」というキャロルで、奈々ちゃんは「これが好きで、これがやりたい」という気持ちがあふれている感じ。きっとどっちが正解というものではなく、キャロル自身、どっちの要素も持っている女性なんだと思う。だから両方のキャロルが見られるのは面白い。

清水

ジェリーとマリリンの浮気のシーンでキャロルと対峙したとき、平原さんのキャロルの前に立つと「ごめんなさいっ」ってちょっと恐怖を感じ(笑)、奈々さんキャロルの前に出るとこちらが苦しくなってしまいます。そんな違いがありますね。

ラリソン

私は最初のカレッジのシーン、キャロルより2歳年上の友達なのですが、奈々さんに対してはちょっとお姉さん感が出ちゃいますね。「がんばれ!」と見守って応援したくなる。あーやのときはおちゃらけて「がんばれっ」と肩をたたきたくなるような、同級生感があります。本当に違いますよね。お芝居を見ていても涙が出るところが全然違ったり。お客さんにも本当に両方のキャロルを見ていただきたいですね。

――ほかに、ここにいないキャスト含め、ツボなシーンがあれば教えてください。

菅谷

私、最近ツボなのがヤス(山野靖博)の『Be-Bop-A-Lula』。ドニーに曲を披露して、それを彼が買ってくれるか……というシーンなのですが、最近リモートでジョイスに指導を受けたあとからおかしくって。山田元とのコントラストをそれこそ静と動にしてくれと言われたらしく、じーっと微動だにせず「ビーバップ・ア・ルーラ♪」って歌っているのがシュールで可笑しい。見てほしい!

MARIA

あとはやっぱり真治さんの一番最後の顔!

塚本

私も! カーネギーホールの楽屋、ママ(剣幸)がひと言言って去っていったあとの表情が。

高城

あの顔に台詞をつけるとしたら「おやおや」か「やれやれ」だよね。

清水

オチの顔だよね(笑)。

MARIA

ちゃんとそこで落ちる。さすが武田真治!です。

ラリソン

いま稽古場で一番話題ですよね。

MARIA

みんなそのシーンになると見ようと思ってちょっと前に出てきますよね。真治さんも見られているのわかっているからちょっと長くなったりして(笑)。

清水

私もツボなのはそこだな~。

菅谷

きっとそれぞれ、ちょっと初演とは違う、仕掛けているポイントがみんなあるよね。ウタコさん(剣)もちょっとしか出ないのに存在感はすごいし、ちゃんと笑いも持っていくし。

ラリソン

ウタコさんの「アイスティはいかが?」の声が好き!

菅谷

BOWSでノリノリの剣さんも観てほしいね。

塚本

もうエネルギーが溢れちゃって。本編でウタコさんはお芝居担当で、歌も踊りもないからBOWSが楽しくて仕方ないっておっしゃっていました。

高城

私はキャロルが『A Natural Woman』を歌う前の長谷川開。ただ「出てくる」だけなのですが、前回、海外スタッフの皆さんから非常に絶賛されていたんです。演出家はとにかくリアリティを追求して、オーバーアクティングを嫌がる方だったので、「何かをしようとする芝居」ではなく「本当にやる、それで十分なんだ」って方向性だったんです。長谷川君はそれまでお芝居を一切したことがないから「出てくる」というのが本当に「出てくる」だけだった。

一同

(笑)!

高城

それが大絶賛されていた。

菅谷

カイみたいにみんな芝居して! って言われたシーンですね。

高城

今回もそれは健在です。ナチュラルです。

MARIA

それをきいたときの開がちょっと嬉しそうで。ちょっとなんかそれは違う!と思ってましたけど(笑)。

菅谷

同じ理由でミツ(東山光明)の「時間です」もよかったよね。

清水

そう!

菅谷

キャロルとジェリーが久しぶりにカーネギーホールで再会して……という一番いいところを遮って「時間です」って呼びに来る東山君にも注目してほしい。

高城

あのセリフもみんなが絶賛していたよね、あれは真似できない!って。……かなりマニアックになってきましたね(笑)。

塚本

でもそのポイントを見つけるのも楽しいと思いますよ。

菅谷

あと今回は上田一豪さんがリステージを担当して、前回のアドバイザーとしてよりも一歩踏み込んだ立場で見てくださっています。ブロードウェイのクリエイターが「こうしてほしい」というものを踏まえた上で、たとえば当時の黒人と白人の格差などをちゃんと説明してくれた上で「こうしてみて」と言ってくださるので、私たちも新しい発見があったりして、より芝居を深めることができています。

ラリソン

それぞれのキャラクターをさらに引き出してくれています。だからみんなが、3年前よりさらに良くなっているなって思います。

菅谷

ひとりひとりを見に来てほしいですね!

(取材・文:平野祥恵)

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