INTRODUCTION

今年はなんと新作の多いことでしょう。

しかも、『スプーンの盾』もそうですが、今までになかったジャンルを書き始めました。

本作は忍者の物語です。

忍者というと、どこかファンタジーのような
バク転をするような
魔法を使うようなイメージか
あるいは、「本当に実在したの?」と疑う方も多いのではないでしょうか?

忍者は実在しました。

現在でいうスパイですね。

ここでまたスパイというと、これも都市伝説みたいに聞こえますが
例えば産業スパイはどうでしょう? 自社の情報を他社に売れば立派なスパイ
あるいは、芸能人のゴシップ写真をスマホで撮って、週刊誌へ売る行為はどうでしょう?

これ、全部、忍者の所業になります。

戦国時代に活躍した忍者は、戦闘ではなく、主にこの諜報活動で活躍したのです。

最盛期には、誰しもがその力を恐れたと言います。

しかし、天下泰平の世になり、戦がなくなると忍者はその職務を失います。

時代劇では、江戸時代でも隠密だの御庭番だのが大活躍しますが、実際は普通の武士として人生を終えました。

人数も極端に減り、忍術の伝承もなくなっていったのです。

そんな悲しい末路を送った忍者の中で、最高峰に有名なのが服部半蔵でしょう。

しかし、僕らが知っている徳川家康に仕えた服部半蔵は二代目。

本作に登場するのは、なんと十二代目というわけです。

他の忍者と同じように、忍者としてではなく「普通の武士」として生きています
忍者など全く必要ない時代。

しかし、時代は幕末維新という激動の時代
忍者だけではなく、武士まで消えようとする、その刹那・・・。

かつて「忍」と呼ばれた集団の子孫は、どう生きるのでしょう?

最後の服部半蔵の物語・・・。

心ゆくまでお楽しみください。

原作・脚本・演出藤沢文翁