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宮﨑駿不朽の名作『千と千尋の神隠し』世界初の舞台化!
製作発表レポート

 2001年の公開以来爆発的なヒットとなった、宮﨑駿監督の不朽の名作『千と千尋の神隠し』。少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、トンネルから八百万の神々の世界へ迷い込み、人間の世界に戻るために奮闘し、生きる力を呼び醒ましていく姿を描いた作品は、2003年に米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞を受賞。2019年には中国でも公開され大きな話題となるなど、いま尚世界中で愛され続けている。

 そんなアニメーション映画史上に輝く傑作が、舞台『千と千尋の神隠し』として、2022年3月2日~29日東京・丸の内の帝国劇場で世界初演の幕を開けることになった。

 この栄えある舞台化にあたり翻案・演出を手掛けるのは、ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』世界初演の潤色・演出を担った英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー名誉アソシエイト・ディレクターのジョン・ケアード。主演の千尋は数々の映像作品で高い評価を得、この作品で初舞台を踏む橋本環奈と、ドラマ、映画、舞台、更に歌手、声優としても活躍の場を広げている上白石萌音がWキャストで演じる。また、映画『千と千尋の神隠し』で千尋を雇い入れる湯屋の魔女・湯婆婆と双子の姉・銭婆の声を担当した、唯一無二の個性派女優の夏木マリが、声優の朴璐美とやはりWキャストで同役を務めるなど、2022年創立90周年を迎える東宝の記念作品に相応しい、総力を挙げた舞台化となっている。

 そんな話題の作品の製作発表が11月9日都内で開かれ、橋本環奈、上白石萌音、夏木マリをはじめとしたメインキャスト全員に、翻案・演出のジョン・ケアード、共同翻案・演出補佐の今井麻緒子、そして映画『千と千尋の神隠し』のプロデューサーであるスタジオジブリの鈴木敏夫が揃い、新たな舞台に懸ける想いを語った。

 製作発表は千尋役の橋本と上白石によるポスタービジュアル披露からはじまり、この日初お目見えを果たした二人の千尋の、全く趣を異にするポスターに大きな拍手が起きる。この時初めて完成版を見た二人からも一気に興奮を高めている様子が伝わった。

 また、スタジオジブリ不朽の名作が、公開から20年の時を経て舞台化されることを「感慨深い」と述べた鈴木プロデューサーからは、宮﨑駿監督が舞台化の打診の際、ジョンとその場で意気投合し、即決で「いいよ」と快諾したというエピソードが。それは宮﨑監督の「あれだけ多くの人に支持された作品はもう皆様のものだから」との姿勢あってのことで、ジブリ作品の大ファンで「『千と千尋の神隠し』は演劇的な作品。絶対に舞台になる」と信じ、オファーにいったジョン・ケアードさえもが非常に驚いたという。「大変ありがたかった。宮﨑監督の作品はルイス・キャロルやチャールズ・ディケンズと同じく、子供の心にしみこめるもので、高貴で熱の高いテンションがある。素晴らしいキャストと共に楽しんで創りあげていきたい」と、作品を生み出した者から、作品を愛して更に新たな舞台へ飛翔させようとする者へとバトンが渡されたことが感じられた。

 ジョンはすでにロンドンと東京で、音楽スーパーヴァイザー・編曲・オーケストレーションのブラッド・ハーク(『ナイツ・テイル ―騎士物語―』)、美術のジョン・ボウサー(2012年パラリンピック・ロンドン大会の美術)、パペット制作のトビー・オリエ(オリビエ賞・トニー賞受賞『ウォー・ホース~戦火の馬~』のパペット操演)、振付の井手茂太らクリエイティブスタッフと3期にわたってワークショップを行い、制作作業を進めている。

 以下は、キャストのコメント。

橋本環奈(千尋役・Wキャスト)

「初舞台で何もわからない自分と、神々の世界に迷い込んだ千尋には共通点がある。演じるのではなく舞台で生きていきたい」
橋本環奈は、初舞台で千尋役に臨む。初舞台で、歴史ある帝国劇場出演、しかも主演を演じる俳優は、『ミス・サイゴン』日本初演(1992年)の本田美奈子.さん以外に例がない。

上白石萌音(千尋役・Wキャスト)

「7歳で初めて映画を観た時には怖いと感じた部分も含めて強く引き込まれた。プレッシャーを力に変えて千尋のように勇敢に頑張りたい」
ジョン・ケアード脚本・演出による、シェイクスピアの『二人の貴公子』のミュージカル化、『ナイツ・テイル』(2018・21年)に牢番の娘として出演している。

醍醐虎汰朗(ハク役・Wキャスト)

「緊張しているが、皆様の胸を借りてやってきたい」

三浦宏規(ハク役・Wキャスト)

「竜になる場面がどう表現されるのか僕自身楽しみ」

菅原小春(カオナシ役・Wキャスト)

「神秘的な世界だけれど生きているのは確か。その輝きを届けたい」

辻󠄀本知彦(カオナシ役・Wキャスト)

「ジブリ映画は自分の人生の一部。今度はこの舞台で自分が誰かの人生の一部になれたら」

 辻󠄀本はその場でカオナシをイメージした即興のパフォーマンスも披露し、ジョンは「(カオナシについて)今までどうやるか分からなかったが、(辻本のパフォーマンスを見て)分かった気がする」と感想を述べた。


咲妃みゆ(リン/千尋の母・Wキャスト)

「ジブリ作品の全てを観ている自分がここにいられるのが夢のよう。地に足をつけて心を整えて演じたい」

妃海風(リン/千尋の母・Wキャスト)

「夏木さんと朴さんのもとで働き、環奈ちゃんと萌音ちゃんの面倒を見られる!頑張ろう!」

田口トモロヲ(釜爺・Wキャスト)

「歴史ある帝劇の舞台、世界中にファンを持つ作品、ジョンの演出、三つ巴の緊張を力にしていきたい」

橋本さとし(釜爺・Wキャスト)

「ジョンは『レッツ・プレイ』と役者を遊ばせる力のある演出家。観るお客様にも同じように楽しんでもらえれば。本番で手が何本生えているかご期待ください」

夏木マリ(湯婆婆/銭婆役・Wキャスト)

「(映画の製作時に役作りについて)悪役だと思って準備をしていったら、宮﨑監督に『湯婆婆は一生懸命湯屋を守っている人。悪人じゃない』と言われ、エモーショナルな監督だと感じた。まさか20年後に舞台でできるとは思ってもいなかった。新たなものとして環奈ちゃんと同じく新人のつもりで臨みたい」
夏木は、ジョン・ケアードが潤色・演出を務めた『レ・ミゼラブル』オリジナル版に1997・1998年にマダム・テナルディエ役で出演して以来、友情を育んできた。

朴璐美(湯婆婆/銭婆役・Wキャスト)

「様々な矛盾を抱えた作品だからこそ色々なものを出していいと言われたのが力になった。帝劇の湯屋に飛び込んでいきます!」

大澄賢也(兄役/千尋の父)

「ジョンは常に役者の年齢、キャリアに関わりなく平等に接してくれる。一緒に作品が作れて光栄」

最後に「カオナシをどう表現するのですか?」との問いかけに、ジョン・ケアードは「ここで言う訳がないでしょう!」と返し、和やかな笑いに包まれるなか、舞台『千と千尋の神隠し』への期待が高まる、熱気溢れる製作発表だった。